トマトの栄養はジュースにしても取れるのでしょうか。
今回はトマトジュースと生のトマトの栄養の比較や、トマトの栄養・リコピンのおすすめの取り方、アレンジドリンクレシピをまとめました。
(この記事は栄養や健康などに関する内容が含まれていますので、医師の監修を受けて記載しています)
トマトジュースには栄養がない?
生とジュースの栄養比較
トマトジュースは、生のトマトを加工して作られています。
その過程で栄養成分が失われてしまうような気がして心配ですよね。
トマトジュースと生のトマトの栄養成分を、食品成分表から比較しました。
ページの最後に一覧表を掲載しています。
生のトマトの方が多い成分は
ビタミンCが約5倍
ビタミンB6は1.67倍
不溶性食物繊維が約2.3倍
ベータカロテンは約1.38倍
葉酸は約2.2倍 多いです。
生のトマトを加工することで、これらの成分が失われてしまうのですね。
それでは「トマトジュースの方が生トマトよりも優れている栄養」は何でしょうか。
それは「リコピン」です。
リコピンはジュースの方が◎
「トマトジュースの方が生トマトよりも優れている栄養」
それは何と言ってもリコピン!
リコピンとは、植物などに含まれる「カロテノイド」という物質の一つ。
植物が日光に当たると作られ、赤やオレンジの色のもととなる色素成分です。
ニンジンやカボチャの色のもととなっているβ-カロテンなどの仲間です。
リコピンは、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。
細胞の老化となる「酸化」という現象に対する効果があると考えられてます。
例えば紫外線に当たると肌の細胞の中では「酸化ストレス」という現象が起きます。
これが蓄積すると、シミやしわなど、「肌の老化」の原因となります。
カロテノイドやビタミンCはこれらの酸化ストレスに対して効果のある成分として、世界中で研究されている注目の栄養成分です。
リコピンの量はトマト1個(90g)当たり4.41mg。
1日の理想的な摂取量は15〜20mg以上と言われているので、生のトマトL玉(200)g2個分!
毎日2個のトマトを食べ続けるのは大変ですよね。
では、トマトジュースの栄養を見てみましょう。
我が家で飲んでいるのはこちら。
どちらも伊藤園の「熟トマト」と「理想のトマト」。
理想のトマトの方が甘くてリコピンも豊富です。
お値段がお手ごろなのは熟トマトの方。

伊藤園のトマトジュース
伊藤園の「理想のトマト」は1本200mlに30㎎のリコピンが、
「熟トマト」は180mlでリコピン18㎎が含まれています。
1日のリコピン摂取量がコップ1杯でとることができるトマトジュース。
保存もできて手軽に飲めるトマトジュースはリコピンをとるのにとても便利ですね。
トマトのリコピン以外の栄養
次に、トマトのリコピン以外の栄養を見てみましょう。
カリウム
トマトには「カリウム」が含まれています。
カリウムは腎臓で、体内の塩分(ナトリウム)を調節する働きがあります。
また、細胞の中に多く含まれる成分なので、細胞の働きにとっては必要な成分。
適度なカリウムは体にとっては必要な要素です。
ただ、腎臓の働きが低下していて病院に通院している人や透析中の方は食事について主治医の先生や栄養士さんと相談してくださいね。
葉酸
細胞分裂にとって必要な働きをする葉酸。
美容や健康にも必要な成分です。
妊婦さんや妊娠を予定している女性、成長期のお子さんは特に意識して摂取する必要があります。
食物繊維
快適な排便リズムにとって食物繊維は重要な役割を果たします。
食物繊維には水溶性、不溶性の2種類があり、トマトには両方が含まれています。
微量元素
亜鉛や銅、マンガンといった「微量元素」は生のトマトやトマトジュースにも含まれています。
微量元素は人体にごく少量含まれている元素ですが、細胞の成長や味覚といった感覚、神経の働きなど体の中で重要な働きをする成分です。
サプリに頼って栄養バランスがが乱れると不足してしまうことがあり、バランスの取れた食生活が必要となるのですね。
コレステロールがない
一方、トマトはコレステロールが含まれていません。
健診などでコレステロールが気になる方、
コレステロールの摂取量に注意が必要な方には嬉しいですね。
トマト ジュースは朝?夜?効果的な飲み方は?
そんなトマトジュースですが、どんな飲み方がリコピンの摂取に効果的なのか、気になりますよね。
リコピンの吸収を高めるとり方のポイントは次の3つ。
油と一緒に摂る
生より加熱する
夜よりも朝に飲む
順番に見ていきましょう。
リコピンは体の中に入ると、脂質(油)に溶けて小腸から吸収されます。
リコピンは油と一緒に取ることで体に吸収されやすくなります。
オリーブオイルなどの油を加えたり、牛乳や豆乳などの脂質を含むものと合わせたり。料理で炒め物などに加えるのが効果的です。
加熱することで、リコピンはより体に吸収されやすい形に変化します。
また、生のトマトでは、リコピンなどの栄養はトマトの細胞の中に入っています。
トマトの細胞は、周りに「細胞壁」という壁をもっており、そのままでは吸収率が悪くなってしまいます。
壁に包まれた細胞の中から栄養成分を取り出すには加熱して壁を壊すことが有効です。
ヒトを対象とした研究において、160mlのトマトジュース(リコピン16㎎)を別々の時間帯〔朝(8時)・昼(12時)・夕(18時)〕に摂取してもらい、血中のリコピン濃度を測定した結果、朝に摂取した郡が昼・夜に摂取するよりも高いリコピンの血中濃度を示すという結果でした。
結論として、リコピンは朝にとる方が、昼や夜よりもが吸収されやすい、という結果が示されていました。
(参考文献:日本栄養・食料学会誌 2017年第70巻 147-155)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/70/4/70_147/_pdf/-char/ja)
トマトジュース アレンジ ドリンク
では、朝にトマトジュースを飲みたい方へ。
簡単なアレンジドリンクのレシピをご紹介しますね。
トマトスムージー
牛乳や豆乳などの脂質を含むものとミックスします。
トマトジュースだけでは不足してしまうたんぱく質やカルシウム、ミネラルなども補うことができ、満足度もUP!甘味が加わり、トマトジュースが青臭くて苦手な人もまろやかで飲みやすくなりますよ。
分量はトマトジュースコップ1杯(150~200ml)にお好みの量の牛乳や豆乳を加えます。トマトの風味が好きな人はジュース多めに。ただ、時間がたつとトマトの酸味で牛乳が分離してきてしまい、口当たりが気になる人もいるかも。
ガスパチョ
ニンジンやキュウリ、ピーマン、パプリカ、玉ねぎなどの野菜とトマトジュースをミキサーにかけます。
そのまま野菜ジュースとして飲んでも、塩やオリーブオイルを加えてガスパチョ風にしても。
オイルを加えることでリコピンの吸収もさらにアップ。
タバスコを振りかけてもほどよいからさとうま味がアップします。
トマト×ヨーグルトで腸活
ヨーグルトとトマトジュースを混ぜます。
どろりとした食感で、酸味の効いた冷製ポタージュ感覚に。
ヨーグルトの乳酸菌やトマトジュースの食物繊維で朝のスッキリに効果的。
こしょうで風味を加えたり、ハチミツを加えても飲みやすくなります。
チキンコンソメスープ
トマトジュース100mlと牛乳100mlをレンジ600wで1分30秒加熱します。
チキンコンソメ大さじ1を加えて混ぜます。
コンソメのうま味が加わって簡単なのに無限にいける一品に。
最後に粉チーズをトッピングすると、香りがよく満足度もアップ。
牛乳ミソスープ
ひとり分(200ml)作るときの分量です。
水20mlに小さじ1杯の味噌を加えて溶かします。なじんだらトマトジュース60ml、牛乳120mlを加えます。牛乳と味噌のコクにトマトのほどよい酸味がマッチして、栄養バランスもよい一品。ホットにするとおなかから体全体が温まるスープに。
甘酒ドリンク
作り方は簡単、トマトジュースと牛乳、甘酒をそれぞれ同じ量混ぜるだけ。
ほのかな甘みとトマトの風味の効いた簡単ドリンクレシピです。
豆乳とめんつゆ
トマトと豆乳を1:3の割合で加え、めんつゆを少量加えます。
ほどよいしょっぱさとめんつゆの風味と豆乳が加わり、豆乳鍋のスープにも。
まとめ
トマトジュースの栄養と、アレンジレシピをご紹介しました。
生のトマトや水煮缶、トマトジュースにトマト缶など大活躍のトマト。
生の野菜のトマトもおいしいのですが、時期によっては手に入らなかったり、保存の関係からいつも常備するのが難しいこともありますよね。
そんな時手軽で便利なのがトマトジュース。
保存も効いて、簡単にトマトの栄養を取ることができます。
暑い夏にも寒い季節にも1年中とりたいトマトの栄養。
ジュースで簡単に、でも効果的に取り入れていきましょう!
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<付記:生とジュースのトマトの栄養成分>
100gあたりの栄養素 | 生 | ジュース | ||||
成分名 | 値 | 値 | 単位 | |||
廃棄率 | 3 | 0 | % | |||
エネルギー | 19 | 17 | kcal | |||
79 | 71 | kJ | ||||
水分 | 94 | 94.2 | g | |||
たんぱく質 | 0.7 | 0.6 | g | |||
アミノ酸組成によるたんぱく質 | 0.5 | -0.5 | g | |||
脂質 | 0.1 | 0 | g | |||
トリアシルグリセロール当量 | 0.1 | – | g | |||
炭水化物 | 4.7 | 4.3 | g | |||
灰分 | 0.5 | 0.9 | g | |||
無 | ナトリウム | 3 | 82 | mg | ||
機 | カリウム | 210 | 200 | mg | ||
質 | カルシウム | 7 | 11 | mg | ||
マグネシウム | 9 | 13 | mg | |||
リン | 26 | 11 | mg | |||
鉄 | 0.2 | 0.3 | mg | |||
亜鉛 | 0.1 | 0.1 | mg | |||
銅 | 0.04 | 0.08 | mg | |||
マンガン | 0.08 | 0.07 | mg | |||
ヨウ素 | Tr | – | μg | |||
セレン | 1 | – | μg | |||
クロム | Tr | – | μg | |||
モリブデン | 2 | – | μg | |||
ビ | A | レチノール | 0 | 0 | μg | |
タ | カロテン | α | 4 | 66 | μg | |
ミ | β | 540 | 350 | μg | ||
ン | β−クリプトキサンチン | 0 | 0 | μg | ||
β−カロテン当量 | 540 | 390 | μg | |||
レチノール活性当量 | 45 | 32 | μg | |||
D | 0 | 0 | μg | |||
E | トコフェロール | α | 0.9 | 0.8 | mg | |
β | Tr | 0 | mg | |||
γ | 0.2 | 0.1 | mg | |||
δ | 0 | 0 | mg | |||
K | 4 | 6 | μg | |||
B1 | 0.05 | 0.03 | mg | |||
B2 | 0.02 | 0.03 | mg | |||
ナイアシン | 0.7 | 0.4 | mg | |||
ナイアシン当量 | 0.8 | -0.5 | mg | |||
B6 | 0.08 | 0.06 | mg | |||
B12 | 0 | 0 | μg | |||
葉酸 | 22 | 10 | μg | |||
パントテン酸 | 0.17 | 0.2 | mg | |||
ビオチン | 2.3 | – | μg | |||
C | 15 | 3 | mg | |||
脂 | 飽和 | 0.02 | – | g | ||
肪 | 一価不飽和 | 0.01 | – | g | ||
酸 | 多価不飽和 | 0.03 | – | g | ||
コレステロール | 0 | 0 | mg | |||
単糖当量 | 3.1 | – | g | |||
食 | 水溶性 | 0.3 | 0.4 | g | ||
物 | ||||||
繊 | 不溶性 | 0.7 | 0.3 | g | ||
維 | 総量 | 1 | 0.7 | g | ||
食塩相当量 | 0 | 0.2 | g |