TATERUに業務停止命令
アパート建築や中古不動産販売、民泊などを行うTATERUに業務停止命令が出される方針とのニュースが報道されました。
日経新聞によれば、
アパートの施工、管理を手がける東証1部上場のTATERUが、建設資金の借入希望者の預金データを改ざんしていた問題で、国土交通省は同社に業務停止命令を出す方針を固めた。預金残高を実際より多く見せ金融機関の審査を通りやすくしていた。国交省は会社ぐるみで改ざんし、不正が全国に広がっていることを問題視し、行政処分に踏み切る。
との報道が6月18日なされました。
これを受けてTATERUの株価は一時、前日比22%(50円)安の181円まで急落しました。
TATERUの株価の推移
TATERUが、不動産の資金を借りたい顧客の預金通帳を改ざんしていたことが分かったのが2018年8月31日。
ピーク時には2500円を超えていた株価は急落。
売り上げも低下し、配当も無配となっています。
株主優待もありません。
30億円の不動産売却損も計上しています。
今後の見通しはどうなるのでしょうか…
業務停止命令とは?
デジタル大辞泉によれば
「金融庁が金融機関に対して行う行政処分の一つ。金融機関の法令違反が著しい場合や、財務内容の悪化が深刻な場合などに、期限付きで業務の一部または全部を停止することを命じる。業務改善命令も併せて出される」ものです。
業務停止命令(ぎょうむていしめいれい)とは金融庁が金融商品取引業者等に対して行う行政処分です。
金商法52条、52条の2にさだめられており、金融機関の法令違反が著しい場合や、財務内容の悪化が深刻な場合などに
最長で6か月間、業務の全部若しくは一部の停止を命じるものです。
業務改善命令も併せて出されます。
似ているものに「業務改善命令(ぎょうむかいぜんめいれい)」があります。
業務改善命令も金融庁が金融機関に対して行う行政処分の一つです。
「金融機関の法令違反や、財務内容の悪化などが明らかになった際に、改善・再発防止が必要な点を指摘し、業務改善計画の提出を求める。」
ものです。
違反が重大な場合などは、業務停止命令が併せて下されることになります。
したがって、違反が重大な場合は業務停止命令(レッドカード)、それよりも軽い場合は業務改善命令、ということですね。
直近では平成30年のスルガ銀行の業務停止命令が記憶に新しいですね。
(これは融資に関する書類の改ざんがあったとして投資用不動産への新規の融資業務の停止命令と、業務改善命令が出されたものです。)
過去の業務停止命令の事例
金融庁の行政処分の事例のデータをダウンロードすることができます。
過去の業務停止命令の事例を挙げます。
平成26年度 むさし証券
平成25年度 みずほ銀行
平成24年度 セブンインベスターズ証券
平成23年度 シティバンク銀行
平成21年度 シティバンク銀行
平成20年度 マネックス証券
平成20年度 楽天証券
こうしてみると、大手でも上記行政処分を受けているところがあるということですね。
業務改善命令の事例は、平成30年度に仮想通貨交換業者のみんなのビットコイン、テックビューロ、ビットバンク、bitFlyerなどになされた事例が記憶に新しいですね。
まとめ
以上、TATERUの業務停止命令とこれに関する過去の事例についてまとめました。
不正融資問題により不動産に対する融資が難しくなっている部分もあります。
銀行、不動産業界、株主、不動産投資を行いたい個人。
いずれにも関わってくる問題ですね。
決してこの件だけで終わらせず、他にも隠れた不正融資がないかきちんと洗い出して欲しいものだと思います。