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パパ1年目のお金の教科書 岩瀬大輔 ちくま新書 2018年3月
本屋をなんとなくふらっとしていてたまたま目につきました。
我が家には2歳児がいるので「1年目」ではありませんが、まだ間に合うだろうと読んでみることにしました。
著者について
著者は1976年生まれ。東大法学部在学中に司法試験に合格、周囲に期待されつつも法曹界には進まず外資系コンサルティング会社に就職。その後ハーバード大学経営大学院に留学し帰国後ライフネット生命保険設立に参画。現在同社代表取締役を務めています。
なんとも素晴らしい経歴の方です。
これだけ見ると「どんな人なんだろう…超エリート!?」と思いますが、読み進めると節々に誠実な人柄が伝わってきました。
起業してすぐにやった事
まず冒頭から。
「社長になったばかりの頃、数か月は資料請求をしていただいたお客様に直接電話をして、心配なことが不明な点がないかをうかがっていた」とのこと。
一人一人の声に耳を傾けることで、データだけではわからない個々のライフスタイルや悩み、将来設計が浮かび上がってくる、と書いてありました。
起業をしたばかりの段階は顧客の悩みを直接聞くという姿勢は、他の起業塾などでも指導していることです。立派な肩書、経歴を持っていてもおごることなく基本をおろそかにしないという姿勢を感じました。
また、ライフネット生命保険会社を「子育て世代の保険料を安くして安心して赤ちゃんを産んでほしいという思いを込めて創業した」と語っています。
ご自身も子育て中の身であり、これから教育や家族の将来に向けたお金の問題にどのように取り組んでいけばよいか、「一緒に学んでいく」という姿勢に共感を覚えました。
貯金はいくらあればよい?
突然の勤務先の倒産やリストラ、病気などの「万が一」に備えた貯蓄。いったいいくらくらいあれば、ひとまずは安心という目安はあるのでしょうか?
この本の中では「目安は年収1年分程度」と述べられています。
貯蓄がなく、生活費のねん出すらも難しい状況では焦りばかりが先立ち、失敗してしまう可能性があります。
確かにそれだけの金額があれば再就職や起業といった次の道に進むうえでも心の余裕を持って取り組めそうですね。
どうやって1年分の貯蓄をするのかという具体的な方法も述べられており、「お金のプロはさすがよく知っているなあ」と感心しました。
また、岩瀬氏だからこそなのか、起業に関するお金の話も書かれています。
大手商社を辞めて落語家に弟子入りし月収1万円となった人の話、著者自身の経験も含めた転職や起業の経験談では「貯蓄をしておくことで選択肢の幅が広がる」としています。
「貯金ができたらこれをやる」ではなく、時には投資をしてでも道を開く大切さが説かれていました。私はつい貯金を重要視してしまうので身につまされます。
コンサルタント時代の苦労話からは突き抜けた努力をされた経験がうかがわれました。
「成長のための負荷」良い表現です。
後半では年金や保険、起業の会計といった話も述べられており、「幸せなお金の使い方」にも焦点が当てられています。
何のためにお金を得るのか、どのように使うのか。
つきつめると「幸せになるため」と言っていいでしょうね。
まとめ
お金の部分に関しては数字が明記されていて信頼性が高いです。
また、数字以外にも生活やものの考え方などで具体的かつ重要なアドバイスが書いてありました。
教育費、体のメンテナンス、投資の考え方、「うまい話には乗らないこと」などなどわかりやすく、有効活用できる方もいるでしょう。
行間から著者の誠実な人柄が伝わってきて応援したくなりました。