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腸内細菌の役割は?バランスを整える方法、移植の効果は?

健康
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腸内細菌叢についての特集となった実験医学2019年増刊号。

最近の腸内細菌の論文や研究についてまとまっていました。

腸内細菌についての基本的なことや最近の研究、個人的に興味を持ったものをピックアップしてみました。
腸内フローラってよく聞くけど、本当に効果あるの?
腸内細菌のバランスを整えるとどんな効果があるの?
きちんとした研究の結果を知りたい!という人にはご参考になれば幸いです。

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腸内細菌の役割

そもそも腸内細菌は私たちの体内でどのような役割をしているのでしょうか?

腸内細菌の数は40兆以上!

腸内細菌の数は小腸で1兆、大腸で40兆といわれています。
人の体に存在する「常在菌」は、口の中に100億、皮膚に1兆、泌尿生殖器に1兆と言われており、どれほど腸の中の細菌が多いかがわかりますね。
(理化学研究所 生命科学研究センターホームページより引用)

腸内細菌の役割

腸内細菌は免疫、感染症、神経疾患など非常に多くの病気に関係していることが明らかになってきました。
腸内細菌はビタミンや脂肪酸などの物質を作ったり、栄養素の代謝などを行い私たちの体に様々な影響を与えています。
あるいは発がん性など有毒物質を作り出すものや逆に分解・吸着するものもおり、がんなどの病気との関連も明らかになってきました。
肥満者に多い傾向のある細菌など、代謝面での研究も進んでいます。

研究されている分野として
・アレルギー
・がん
・腸疾患(腸炎、過敏性腸症候群 など)
・神経疾患(多発性硬化症、自閉症、うつ・不安障害)
・代謝(肥満、糖尿病、脂肪肝、動脈硬化)
など多岐にわたります。
(参考文献:モダンメディア60巻10号 2014年)

腸内細菌のバランスを整える方法

食生活、住環境など様々な要因によって腸内細菌は影響を受けます。
赤ちゃんは生まれるときにお母さんから細菌をもらうといわれており、分娩方法によって腸内細菌の種類が異なっています。
また、肉類の多い食生活と、穀物を中心とした食生活の人も腸内細菌の種類は異なっています。
さまざまな細菌がバランスを取りながら働いています。

腸内細菌のバランスを整える方法として最も一般に要行われているのが「善玉菌」を取り込む方法です。
ヨーグルトや納豆などの発酵食品やサプリメント、医薬品などですね。
しかしこれは「大量の悪玉菌の中で善玉菌が孤軍奮闘しても腸内環境の劇的な変化は期待できない」そうです。
確かに、摂取できる量は限りがありますし、さらに摂取したとしても胃酸の影響で死滅してしまうものもあり、すべてが有効に腸で働けるわけではありません。
そのため、最も身近な手段としては食物繊維を積極的に摂取することが推奨されていました。

ただ、私自身の経験としては、食物繊維はキャベツや大根をかなり大量に食べてようやくお通じが整ったので、毎日この食生活もそれはそれで大変だな~という感じでした。
一方、キムチと納豆や、発酵させた豆乳などは比較的とりやすい量でも効果がありました。
乳酸菌にせよ食物繊維にせよ、続けやすい量で、継続的に取り入れるのが良いかもしれませんね。

腸内細菌の移植の効果は?

抗生物質関連の下痢(Clostridium difficile)に対して腸内細菌を移植する治療が2013年に報告され、以降腸内細菌の移植について研究されるようになりました。
再発性のクロストリジウム感染所に対する腸内細菌の移植(FMT)は有効性が証明されており、炎症性腸疾患に対する移植もRCTで有効性が示唆されています。
ただし、有効性に関して結論を出すのは“時期尚早”と述べられていました。

腸内細菌で痩せる?

やせた人、肥満の人それぞれの腸内細菌の研究から「Firmicutes属最近は“デブ菌”、Bacteroidetes属細菌は“痩せ菌”とよばれることも」あるようです。
が、肥満への腸内細菌移植の改善効果は見られないようです。
痩せ菌をとればやせるわけではないということですね。
(移植に関する詳しい内容は上記の雑誌に掲載されています。)

最近の動向

ヒトの微生物についての研究を推進する動きがあり、日本マイクロバイオコンソーシアムが設立されました。
日本人のデータベース構築や公開シンポジウム、研究や企業連携も目標とされています。

食品業界や製薬業界、化粧品業界など各界が研究に取り組んでいます。
たとえば
・医薬品
・疾患研究
・特定保健食品
・オリゴ糖、食物繊維商品
・インフルエンザや花粉症、内臓脂肪に対する機能性表示製品
・皮膚の細菌叢への効果をうたったスキンケア製品
などです。

まとめ

腸内細菌叢の研究動向、現時点での知見や今後の動向についての雑誌をご紹介しました。
腸内フローラという言葉が独り歩きしている部分もあります。
研究や論文を探したい方、でもできれば日本語で読みたい。または腸内細菌の最近の事情について情報を知りたい方はこの雑誌にはよくまとまっています。

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