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信楽焼の特徴は?狸の意味、茶碗・食器の魅力と違い

信楽焼の狸 教養
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あたたかみのある質感で人気の陶芸「信楽焼」。
管理人は20代のころ5年ほど陶芸を行っており、信楽焼は大好きな焼き物の一つ。
今回は信楽焼の特徴や、代表ともいえる狸の由来・意味、食器の特徴についてご紹介しますね。

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信楽焼の特徴

信楽焼(しがらきやき)は、滋賀県甲賀市にある「信楽(しがらき)」を中心に作られる陶器です。
信楽(しがらき)の名前の由来は奈良時代にさかのぼります。
天平14年(742年)、聖武天皇はこの場所に離宮を作らせました。
それが紫香楽宮(しがらきのみや)。
一時はここに都が置かれ、国家安寧を願って奈良の大仏(廬舎那仏)建立の詔(みことのり)も出されました。
この紫香楽が変化し、「信楽」となりました。
信楽焼の始まりは、紫香楽宮の造営の時に瓦を焼いたこととされています。
信楽のある琵琶湖周辺では陶芸に適した粘土がとれ、製陶業が盛んとなりました。

信楽焼に使われる土(陶土)の特徴は粒が荒くコシが強いこと。

粘土には長石や石英などが多量に含まれています。
粘土を作る工程でこれらのものを取り除く処理を行わないため、
釉薬を使わずに仕上げると焼成時に器の表面に顔を出し、
独特の粒状の風合いが出ます。

また、大物・肉厚な作品作りが可能です。
なんと陶器のお風呂(浴槽)までできてしまいます!

粘土によっては大きなものや厚みのあるものを作ると、作っている過程で変形したり割れたりと、難しい種類のものもあるのです。

もちろん、小物づくりにも適しています。
耐熱、耐久性が高く、食器や日用品、陶板などにも使われます。
信楽は奈良や京都といった都に近く、街道ぞいでもあったため、茶の湯が発達してからは茶碗で有名になりました。
細かい表現もできるので、狸の置物で有名ですね。
有田焼などの華やかな模様の陶器とは異なり、どちらかというと焼き色・発色を生かしたシンプルなたたずまいの陶器です。

信楽焼の特徴は主に次の3つ

・自然降灰釉(ビードロ釉)
・火色
・焦げ

です。

自然降灰釉(ビードロ釉)

陶器は粘土で形を作り、乾燥させた後高温で焼成します。
焼く前に釉薬(ゆうやく・うわぐすり)をかけると、陶器としてのなめらかな肌触りになります。

ここでうわぐすりを使わない場合、窯(かま)の中で陶器に灰がふりかかって土と化学反応を起こし、自然にガラスのようになることがあります。

これが「自然降灰釉(ビードロ釉)」で信楽焼の大きな特徴の一つです。


もちろんうわぐすりを使った信楽焼もありますので、信楽焼がすべてビードロ釉というわけではありません。
また、「ビードロ釉」風の表現となる釉薬も販売されています。
信楽焼の他には伊賀焼でもビードロ釉が特徴の一つです。
信楽焼の甲賀地域(滋賀県最南部)と伊賀焼の伊賀地域(三重県)は隣接しており、信楽焼と伊賀焼は雰囲気に似た部分があります。

どちらも琵琶湖層の粘土を利用しているためです。

火色

成型した作品を窯で焼成する工程で、土中の鉄分がほのかな赤やオレンジ・ピンク色に発色し、赤褐色系統の火色(緋色)が生まれます。

「窯あじ」とも呼ばれ、温度や焚き方によって微妙に変化することで信楽焼き独特の発色が起こります。

白い器でもほんのりとした温かみを感じられます。
一方で、細やかな彩色・模様づけにはあまり向いていません。
(※もちろんやって悪いというわけではなく、表現は自由です。
あくまで一般論としての特徴です。)

焦げ

窯の中で薪の灰が積もった部分が黒褐色になる「焦げ」も信楽焼の特徴の一つです。

表面に独特の存在感を印象付けるものです。
色ムラなどは、「侘び」感や味わいが感じられます。
高温で焼締めた信楽焼の花瓶や食器は見る人の心を魅了する存在感がありますね。

 

これらの窯の中での変化が独特の表情を生み出しています。

焼き上がりは窯を開けるまでわかりませんので、陶芸職人としての経験が大きく生きる部分。

陶芸の世界では

「菊練り3年、ろくろ10年、焼き一生」と言われます。

初歩的な土練りでも熟練するには3年、ろくろを安定して回せるには10年を要し、焼成に関しては一生深めて行く、というものです。

信楽では琵琶湖周辺から良質の陶土が得られ、歴史的に焼き物が発達し、受け継がれてきました。
日本六古窯の一つにも挙げられています。

※日本六古窯とは古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯のことです。
越前(えちぜん)・瀬戸(せと)・常滑(とこなめ)・信楽(しがらき)・丹波(たんば)・備前(びぜん)
をさします。

信楽焼のたぬき

信楽焼といえば有名なのは「狸(たぬき」」の置物。

福々とした狸が編み笠(あみがさ)をかぶり、右手に徳利・左手に通帳を持って立っているのが定番です。
型に入れたものでなく、手作り(手で粘土をひねってつくる)の「手びねり」のものは「ひねり狸」と呼ばれます。

信楽焼の狸

この信楽狸には意味・縁起があります。
「八相」という縁起のよい外見的特徴を持つ縁起物とされています。
その八相(八か条)を紹介しますと・・・

 

思わざるは悪事災難避けるため用心常に身をまもる笠

(思いがけない災難をさけるため普段から準備をする)

世渡りは先ず信用が第一ぞ活動常に四通八達(世渡りには信用が第一。)

何事も前後左右に気を配り正しく見つむることを忘れめ(何事も前後左右に気を配り正しく見つめる)

もの事は常に落つきさりながら決断力の大胆をもて(常に沈着冷静に。しかし、決断すべき時には大胆さも必要。)

世は広く互いに愛想よく暮し道を以って務めはげまん

(常に愛想良く真を以て努める)

金袋

金銭の宝は自由自在なる運用をなせ

(金銭を自由自在に使える金運に恵まれるように)

徳利

恵まれし飲食のみにこと足利て徳はひそかに我につけん

(飲食には困らず、徳を持てるように努力せよ)

なに事も終わりは大きくしっかりと身を立てるこそ真の幸福

(物事の終わりは大きく、しっかりと身を立てることが幸福である。)

 

また、狸が「他を抜く」に通じると、商売繁盛としてお店の軒先に置かれることも多いものです。

 

始まりは、明治時代に陶芸家の藤原銕造が作ったものが最初と言われています。

1951年(昭和26年)、昭和天皇が信楽町を行幸された際、たくさんの信楽狸に日の丸の小旗を持たせ沿道に設置したところ、狸たちが延々と続く情景に感興を覚え、歌を詠んだ逸話が新聞で報道され、全国に知られるようになったという逸話もあります。

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もうひとつ、「信楽ガエル」という親子の蛙も縁起のよいものです。
「かえる」とかけて

・マメにかえる(交通安全)
・金がかえる
・若がえる
・物がかえる。
・引きがえる(客を引く)

と喜ばれ、こちらも縁起ものです。

また、信楽焼の狸がカエルやフクロウ(=不苦労)と一緒にいる縁起物の焼き物も市販されています。

 

信楽焼の食器

シンプルでありながら端正さ・存在感のある信楽焼。
信楽焼の食器・うつわは、中に入れたものと調和し、日々の生活を彩ってくれるものです。

茶碗
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コーヒーカップ


酒器

土鍋
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花器

香炉

 

※食器を初めて使用される場合は十分に洗いましょう。
米や小麦粉を溶いた水で表面の細かい穴を埋めるなどの処理が必要な場合があり、説明書の指示を確認してくださいね。

使用される前にも、水や湯で洗って水気を含ませるものもあります。

使用後もきれいな水ですすいだ後、よく乾燥してから収納するとカビ、シミをふせぐことができます。

長時間水に漬けっぱなしにしたり、汁物を入れたまま長時間置くと、カビやシミ、もろくなって欠けやヒビ割れの原因に。

スカーレットのモデルは?

NHK朝ドラ「スカーレット」のモデルとなったのは神山清子さんという女性。
1936年生まれで日本の女性陶芸家の草分けとも言われています。
”途絶えていた古信楽の再現に成功し、自然釉薬を使った陶芸の第一人者となる”とウィキペディアには書かれています。
2005年には彼女の半生が映画化され、「火火(ひび)」という作品となっています。

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寸越窯(ずんごえがま)という陶房で現在は活動されています。

まとめ

信楽焼の特徴や狸の由来、食器の特徴についてまとめました。
日本の誇る伝統窯の一つでもあり
鮮やかな色彩や模様の焼き物とは一味違う信楽焼。
土と水、炎の織りなす芸術として日常に寄り添う逸品です。

 

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